2007年12月6日木曜日

confiture d'arbouse(アルブーズのジャム)

arbouseとは9月頃から今現在12月でも所々に見つける事が出来ますが赤く真ん丸く、とても愛らしい実で、フランスでも特に南部、コルシカやお隣のサルデーニャ島が主な産地となっています。



日本語名では、「イワナシの実」と呼ぶそうで、そういえば?なんとなくナシッぽい味がするかも・・・・。



春には白い花がそこら中に咲き乱れ、この花から蜂蜜も採っています。



実の周りに小さな種(といっても苺のように食べれる種)で覆われていて、生で食べると少し粉っぽい感じもします。一般的には、ジャムやジュレ、リキュールなどに加工し、生で食べることはほとんどありません。


さて、このアルブーズを使ってジャムを作ってみました。


コルシカ、サルデーニャ以外の地域で実を採って作るというのは、難しいとは思いましたがコルシカを代表するフルーツの一つでもあるので、紹介します。



(材料)
アルブーズ
グラニュー糖



(作り方)
1、鍋にお湯を沸かし、そこに鍋の大きさに合うザルとアルブーズをいれて軽く沸騰させた状態で10分から15分程度ゆでます。


2、お湯からアルブーズを引き上げ、水気をよく切り、網目の細かい漉し器で裏ごします。

3、裏ごしたピュレの重さをはかり、同量のグラニュー糖を加えます。

4、中火にかけ木べらで常に底が焦げないように混ぜます。

5、お皿に少量取って、冷ました時にジャムのような粘りがあればオッケーです。

★すぐにジャム用空き瓶に一杯まで詰め、煮沸してお湯ごと冷まし、保存します。

2007年11月26日月曜日

pain des morts(死者のパン)の作り方


(材料)直径18cmのパン2個分
中力粉・・・・・・・・・・500g
グラニュー糖・・・・・150g
溶かしバター・・・・・100g(荒熱を取っておく)
全卵・・・・・・・・・・・・2個
ドライ・イースト・・・・15g
レモンの皮すりおろし・・・・・・・1個分
胡桃(割れていない物)・・・・100g
             ゴールデン・レーズン・・・・・・・・100g
             塩・・・・・・・・・・・・・・1つまみ
             卵黄(つやだし用)・・・・・1個

(作り方・・・自動パン捏ね機でも出来ます)
1、ドライ・イーストにぬるま湯(分量外)を100cc~120cc加えてよく混ぜ温かい所に1  
0分ほどおいて置く。

2、ボールの中に中力粉を入れ、真ん中を窪ませグラニュー糖・溶かしバター・塩・全卵を入れ良く混ぜ、ある程度まとまったら台の上に取り出し、手に付かず且つ滑らかになるまで力強く捏ねる。
★ミキサーがある方は、高速で回しグルテンをしっかり出して、同様滑らかになるまで回す。

3、生地に胡桃・レーズン・レモンの皮のすりおろしを加え、よく練りこむ。
★ミキサーを使う場合、胡桃が細かく壊れないように低速で混ぜる。

4、生地をボール状にまとめてボールに入れ、濡れた布巾を被せて冷蔵庫で一晩休ませる。

5、翌日生地を取り出し2等分し、ボール状にまとめ直径18~20cmになるように手でつぶす。ベーキング・シートを敷いた天板の上に置く。

6、夏の場合、直接日光が当たらない室内で濡れた布巾を被せて約1・5~2倍の大きさになるまで待つ。冬の場合、大きい鍋にお湯を張り、その上に天板ごと乗せて同様に発酵をさせる。

7、卵黄1個に水少々加えてとき伸ばし、刷毛で薄く表面に塗り広げる。(十字に切れ目を入れる)

8、170℃~180℃のオーブンで45分焼く。


*思いついたこと*
・中力粉と書きましたが、フランスではスーパーで買える普通の粉T55を使います。でも、強力粉を少し加えてもいいかもしれない。

・今回グラニュー糖の代わりにカソナードを使いましたが、全く問題なかったです。

・胡桃はあらかじめ軽くローストすると更においしいと思います。

2007年11月20日火曜日

pain des morts(死者のパン)

この名前を聞いた時は、一体このパンはどんな物なのか様ざまな想像をしてました。



パンが死者の形をしているのか?日が経って死んだようにカチカチなのか?もしくは、何か死にまつわる話に出てくるパンとか・・・・?



フランスでは、11月1日はle jour de Toussaint もしくはle jour de mortと言われるカトリック教行事の一つで諸聖人の大祝日、つまり日本のお盆にあたるのです。



日本では、8月13日~15日がお盆の一般的な期間ですが、この11月1日にコルシカでは、主題であるpain des mortsをお墓に供えるのだそうです。そういう”いわれ”からパンの表面には十字架を意味する切れ目を入れるのが本来のようですが、今現在ではツルっとした表面になって売られているのが一般的です。



ちなみに余談ですがコルシカでは、一緒にお供えする花は日本と同じ様に菊の花を供えるそうです。けれども、フランス本土にいた時は一度もそんな行事を目にした事も聞いた事もなく、パンはコルシカで生まれた物としても、菊の花を供える事はジョスさえ聞いた事なく、もしかしたら信仰厚いカトリック教徒の多いコルシカだからこそ、受け継がれている伝統なのかもしれません。





共通して使われる材料は、薄力粉タイプ55(日本の中力粉に当たります)・水・卵・イースト・レーズン・胡桃・油脂で薄力粉しか使わない為パンらしくない、コルシカ人の表現によるとブリオッシュのような・・・となるのですが、口当たりの柔らかいパンで、胡桃がかなりの量入るので色が少し紫がかっています。





ボニファシオが発祥の地だ!という意見もありますが、このあたりは理由が見つからず、謎のまま。ですが、ボニファシオではなぜか11月2日に作られるのが伝統だとか。





ネットで調べていたら、こんなサイトを見つけました。フランス語ですが、パン・デ・モールを作る様子が見れます。http://emissionstf1.aliceadsl.fr/infos/france/0,,3349003-VU5WX0lEIDUzNg==,00-tradition-corse-pain-morts-toussaint-.html

2007年5月29日火曜日

Frappe(フラップ)

久しぶりの更新です。



かなり以前に作ってはいたのですが、仕事の忙しさにかまけてなかなか書けずにいました。



さて、このフラップ、とてもシンプルな揚げ菓子なのですが、コルシカに限らず南仏ではよく見かけるお菓子でもあります。


私が以前住んでいた、アルビという所では”oreillete"(オレイエット・・・耳あて)という面白い名前が付いていて、長方形に伸ばした生地を揚げるとそれらしき形になるのが由来らしく、まだ別の地方では"Merveilles(メルヴェイユ)"という名前で呼ばれています。



南仏地方の地方菓子で必ず入るものが、オレンジの花の水(オレンジの花のつぼみを煮て、その水蒸気を集めたもの)で、大森由紀子さんの「私のフランス地方菓子」には、フランスのお菓子史上、初めてつけられた香りと言われてますが、コルシカではどうでしょう?


コルシカでは、レモンの皮のすりおろしが入るのが一般的のようです。オレンジの皮も入る場合があるり、レモンの皮は、フィアドンヌにも必ず入れるものでもあります。


現在は、世界中・フランス全土でどこでもレモンは手に入り、特別な物ではないですが、輸出が発達していなかった頃はレモンの産地である地中海近辺で頻繁に使われただろうと想像すれば、コルシカでレモンがよく使われるのにも納得がいきます。


今回は、珍しくほぼ本のレシピ通りで成功しました。若干作り方は、私流が入ってしまったけれど・・・。



(材料)大体20個分

薄力粉・・・・220g
全卵・・・・・・1個半
バター(ポマード状)・・・・50g
ベーキングパウダー・・・・4g
牛乳・・・・・・・・・大さじ1
グラニュー糖・・・・20g
塩・・・・・・ひとつまみ
レモンの皮のすりおろし・・・・半個

揚げ用油・・・・・適量
仕上げ用の粉砂糖、またはグラニュー糖・・・・・適量

(準備しておく事)
1.薄力粉とベーキングパウダーを一緒に振るっておきます。

(作り方)
1.振るった粉類と、ポマード状のバターを手で擦りあわせ、おおまかに混ぜます。
2.全卵・牛乳・グラニュー糖・塩・レモンの皮をすべて混ぜ合わせ、1に加えます。
3.手の腹で押すように生地をまとめ、ラップに包み、冷蔵庫で30分から1時間生地を休ませておきます。
4.生地を薄く、2から3mmほどの厚さに伸ばし、手綱こんにゃくの要領で形作ります。
5.揚げ油を170から180℃に熱し、一度にあまり沢山入れずに、5個ずつ程入れ、均等にキツネ色に揚げます。
6.熱いうちに砂糖を振りかけ、食します。


色々形を試してみて手綱こんにゃくのようにするのが一番綺麗に出来
ましたが、このように真ん中に切れ目を入れると生地全体にまんべんなく火が通るので、とても揚げやすいですが、普通に「三角」や「長方形」に切って揚げても、真ん中が膨らみ、全く別の食感になります。

1つの鍋で沢山出来るので、お客さんが多い時など便利かもしれませんね。

ポイントは生地の固さなんですが、手にくっつかない程度で捏ねてはいけません。まとめる感じです。

アルビについて興味がある方は、こちらのサイトへどうぞ(フランス語です)http://www.mairie-albi.fr/また大森由紀子さん著の地方菓子の本は、主に柴田書店で購入できます。

2007年5月9日水曜日

吉報!!

日本でブロッチュが買えます!サイトを見つけました!!

チーズ専門店アルパージュさんで、通販で買えます。

ブロッチュに関しては、予約制のようです。輸入期間は2月~5月迄となっていて短いですが(しかも今はもう5月上旬)、興味のある方、問い合わせてみて下さい。

他にも、コルシカ島のチーズが手に入ります!!

アクセスはこちら、
http://www.alpage.co.jp/www/mailnews/2007/20070124.htm

2007年5月5日土曜日

gateaux au châtaigne(栗粉のケーキ)

栗粉を買った時に付いていた、コルシカのシャテーニュ・マロンの生産者・労働組合による栗粉を使った色々な食のレシピを元に作ってみた、この栗粉のケーキ。(長い)



なんの捻りも無い名前の「gateaux à la châtaigne」。



果たして、伝統的なガトーなのか定かではありません。



ここで、栗(シャテーニュ)の歴史を少し・・・。



栗の木は、昔からコルシカを救った木と言われているのをご存知でしょうか?



痩せた土地でも育つ栗の木は、ブルターニュ地方で同じ様に痩せた土地で育つそば粉の様に人々の食には欠かせない主食となっていました。パンにしたり、ケーキにしたり、料理に使ったり、時に起こった飢饉をも救った大切な大切な、「命の木」であったのです。又、別名「パンの木」とも呼ばれていたようです。



今では栗粉は、1kg10~14ユーロもするほど、高級な粉になってしまいましたが、新年には、秋に取れたシャテーニュを乾燥・粉にした、新粉を使って栗粉のポレンタを作り、同時にフィガテリ(豚肉加工品の一種。加工は傷みを防ぐ為、冬場に行われる)、目玉焼きを一緒に食べ(つまりすべて新物を揃える)、自然の恵みに感謝をし新年の繁栄を祈るようです。特に山岳地帯の伝統らしいです。



さて、この歴史とは関係ありませんが、紹介されてた栗粉のケーキのレシピです。


(材料)
栗粉・・・・・200g
薄力粉・・・・50g
ベーキングパウダー・・・・5g(作り方には、B・Pを入れると書いてあるのですが、レシピには分量が書いておらず、これくらい加えてみました。
塩・・・・・・・1つまみ
牛乳・・・・・200g
全卵・・・・・3個
オイル・・・・大さじ2杯
グラニュー糖・・・・50g

(準備しておく事)
1.オーブンを180℃に温めておきます。
2.型にオイルかバターを塗っておきます。


(作り方)
1.ボールに栗粉・薄力粉・ベーキングパウダーを入れホイッパーでよく混ぜます。

2.牛乳・オイルを入れよく混ぜます。

3.全卵・砂糖を加え、良く混ぜ、型に流してオーブンで15~20分ほど焼きます。(型の大きさ、オーブンによって焼成時間は異なるので、串を真ん中に刺してみて、生地が付かなければ、焼けています。)



今回、私が使ったのはシリコン性の型で、耐熱・そのまま冷凍しても型から抜くのが非常に簡単・便利なものです。

フランスでは、スーパーでもよく見かけますが、日本でも製菓材料店で見かけるようになってきました。

1台で焼く場合は、160~170℃ほどに温度を落として、じっくりと30分ほど焼いてください。





真ん中を切って、お好みのジャムを挟んで、どうぞ!

しっとりというよりも、弾力があり少し「もさもさ」感がありますが、そこは中に挟むジャムがしっとり感を加えてくれます。

今回なんとなくこのガトーの食感に合わないような気がして省きましたが、レシピには、チョコレートの上掛けをかけるように書いてありました。

レシピはこちら。

チョコレート・・・・100g
オイル・・・・・・・・大さじ1杯
水・・・・・・・・・・・大さじ3杯


チョコレートを溶かし、水・オイルを加え静かに混ぜ、ケーキの上に掛けます。

作った次の日には硬くなってしまうので、ラップをしてレンジで少し温めてください、おいしいケーキがよみがえりますよ~

2007年5月3日木曜日

tartelette au châtaigne(栗のタルト)

今回の栗のタルトは、今までのガトーの中でも、ちょっと凝っています。中級編といったところでしょうか。

それそれの作業に難しいところはないのですが、行程が幾つかあります。

元のレシピはピエール・エルメのplasirea sucresからのアレンジしたものです。コルシカにちなんで栗のタルトを作りましたが(伝統的なガトーではありません)、とてもこのタルトおいしいです。

冷凍保存が利くので、時間がある時に作っておいて急なお客様の時にオーブンで温めるだけという事も出来ます。 そして、私は温めたタルトを食べながらこのブログを書いてるのです。ん~セ・ボ~ン!!

このお菓子は特にシャテーニュ〈マロンとは種類が異なり味もマロンの方がまったりしてます)にこだわっているわけではないので、日本でも作る事が出来ると思います。

〈材料〉
(タルト生地)・・・・600g分

薄力粉・・・・・・250g
粉砂糖・・・・・・100g
全卵〈常温に戻す)・・・・・・・・1個
バター(ポマード状)・・・・・・・150g
アーモンドパウダー・・・・・・・30g
塩・・・・・・・・・・・・・・2つまみ


実際使う量は300gほどです。残りは冷凍保存して、次回に使用出来ます。空焼きするので、豆を用意してください。

(アパレイユ生地)   8~9個分、直径20cmのタルト型1台分


蒸し栗・・・・・・・200g
バターA・・・・・・・25g
グラニュー糖・・・・40g


卵黄・・・・・・・・・・3個
溶かしバターB・・・30g
全卵・・・・・・・・・・1個
栗のジャム(手に入らない方はクレーム・ド・マロンを)・・・・110g
クレーム・エペス(手に入らない方は生クリームを)・・・・30g


フランスでは、スーパーでこんな真空パックになった蒸し栗(マロン)を売っています。加糖はされておらず、ぞれは主に料理に使われる為でしょう。










(準備しておく事)
オーブンを180℃に温めておきます。

(作り方)
タルト生地の作り方・・・・1.ポマード状のバターに、粉砂糖を2回に分けてホイッパーを立ててグルグルと混ぜます。空気を入れないように注意して下さい。

2.ほぐした卵を2回に分けて同じように混ぜます。

3.アーモンドパウダー・塩を加えて、これらは混ざれば良いです。ヘラに持ち替えて薄力粉を加え、粉気が無くなるまで混ぜます。

4.平たくしてラップをし、冷蔵庫で最低2時間休ませます。

5.3㎜ほどの厚さに伸ばし、型に敷き、フォークで数箇所穴を開けて、冷蔵庫で1時間冷やしておきます。

6.丸く切った硫酸紙を敷き、重し用に豆(小豆・ランティーユなど)を型の高さまで入れ、180℃のオーブンで軽くキツネ色になるまで焼きます。



こんな感じでタルト生地を敷きます。







今回また、重し用の豆を買い忘れ、パスタを使いましたが、こんな感じで空焼きします。







次にアパレイユ(液体)を作ります。

1.フライパンにバターAを溶かし、蒸し栗を加え炒め、砂糖を加えキャラメル状にします。バットに空けて、荒熱を取っておきます

こんな感じです。


2.卵黄・全卵をほぐし、栗のジャムを加え(クレーム・ド・マロンを加えて甘味が足らない場合は砂糖を20~30g加えてみて調整して下さい)、バターB・クレームエペス(生クリーム)を加えます。

3.空焼きしたタルトにアパレイユを流し、飾り用にキャラメリゼした栗を何個かとっておき、残りをタルトに加え、180℃のオーブンで15分程焼きます。











型から取り出し、荒熱を取り、少し温かい位がおいしいです。

冷凍・冷蔵保存する場合は完全に熱が取れてから、一個ずつラップして保存してください。

キャラメリゼしたマロンのほっくり感、アパレイユのしっとり感、タルトのサクサク感が相まって、なんとも幸せな気持ちになります。

旬の秋、おいしい栗が手に入ったら、渋皮煮にして加えてみるのもいいかもしれません。