2007年4月27日金曜日

tempura de brocciu(ブロッチュのてんぷら)

2週間の電話回線切断の間に、5種のガトー(失敗も合わせると8種)を作ったので、どんどん紹介していきますよ~



今日は、「ブロッチュのてんぷら」なのですが、コルシカに住む人、もしくはコルシカの料理に精通している方は、「なんでベニエ(beignets)じゃないの?」と思われる方もみえるかもしれません。



なんの事はない、失敗しました・・・・。



本に書いてある大雑把な分量で、混ぜるだけ!と書いてあるので、やってみましたが、ちょっと生地の様子がおかしく、試しに揚げてみたら、マズイ・・・・。この著者もきっと自分で作る際には、おいしい物が出来ると思うので、本には書いていない”こつ”が重要な鍵と思います。



私がポルト・ベッキオで食べたベニエは、ミスドのドーナツ生地のようにふんわり、中にブロッチュの小さな塊が入ってたんですが、とにかく生地の時点で失敗してガックリ、けれど今日ブロッチュを使わないと今度いつガトー作るかな~・・・とそこで思いついたのが、「てんぷら」でした。



「てんぷら」といっても、味は砂糖・ミントを加えているので、”おやつ”感覚ですが、やってみると結構手間が掛かりました。しかし、味はベニエよりもさっぱりしているし、ブロッチュのフレッシュ感が残っていておいしい!とジョスは言ってました。天ぷら生地は、基本は「水・全卵・粉」だけで作り容器や水をよく冷やしておきますが、今回のは混ぜてすぐに使うことが出来るレシピです。




(材料)
〈天ぷら生地〉
薄力粉・・・・・・・50g
コーンスターチ・・・・・50g
全卵・・・・・・・・1/2個
ベーキングパウダー・・・・5g
水・・・・・・・・・・・・・100g





〈中身〉
ブロッチュ(1~2日水抜きしたもの)・・・・・・150g
グラニュー糖・・・・・・・・・・20~30g(味をみて調整して下さい)
ミントの葉・・・・・・・・・・3枚程(みじん切りにします)

ピーナッツオイル(揚げ用)・・・・・適量
コーンスターチ(まぶし用)・・・・・・適量



ちなみにブロッチュの水抜きはこんな感じです。










(作り方)
1.ブロッチュとグラニュー糖、ミントの葉をホイッパーで混ぜ(滑らかでなくても良い)、1個当たり15~20グラムになるように分けて、それらをボール状にし、冷蔵庫で約30分冷やしておく。(この時点で、生地が柔らかいようであれば、水分の抜きが足らない。)


2.天ぷら生地を作る。薄力粉・コーンスターチ・ベーキングパウダーをボールに入れ、ホイッパーでグルグルと混ぜ、全卵・水を加えてよく混ぜる。


3.オイルを温め始める。180℃位にしておく。


4.冷蔵庫からブロッチュを取り出し、コーンスターチをまんべんなくまぶせる。と同時に手早く天ぷら生地に絡ませ、揚げる。およそ2~3分程度。


5.油気を切り、粉糖を振って熱々を食べる。

ポイント・・・色が白っぽい出来上がりですが、生地は非常に薄くかかる為、火の通りは早いです。中身のブロッチュは生でも食べれるので、生地がカリっとなった状態を見て揚げてみて下さい。





ブロッチュを冷蔵庫から出し、コーンスターチをまぶした状態。







生地にブロッチュを落として・・・・


スプーンで生地を掛け、









すくいます。(天ぷら生地がスプーンに残っているこの状態で揚げ油に落とす。)












高温で、短時間で揚げます。そうでないと中身が出てきて、油が跳ね非常に危険です!スプーンで上下を返しながら、中身が出てきてないか、たまに確認して下さい。出始めたらすぐに引き揚げてくださいね。火傷に注意してください。



油も使うし、面倒だわ~とおっしゃる方もいると思います。ごもっとも!結構面倒なんです!キッチンも汚れますが、熱々の出来立てのおいしさを味わうと、それまでの苦労もむくわれる思いになるでしょう。

是非、お試しあれ☆

2007年4月26日木曜日

quatre quarts de la farine de châtaigne et au figue(栗粉と干しいちじくのパウンドケーキ)

今日のガトーは、quatre quarts(4と1/4)というフランスでクラシックなパウンドケーキなのですが、つまり4つの材料を1/4ずつ(同割り合い)という非常に計量が簡単極まりない、しかもおいしいガトーの紹介です。



コルシカ料理本を買って何度か試してて気付いたのですが、あまりバターを使ったレシピは見られません。なのでこのガトーは古くから伝わる物では、無いと思います。



おそらくこれは、牛よりも羊の飼育の方が、コルシカの地形に適しており、バターが日常使われなかった事と、地中海性気候により発達したオリーブオイルがより頻繁に使われた名残と思われます。



そして、私が思うにコルシカの料理本のほとんどは、作り方の説明が非常に少なく写真が付いていない事も多いので、本来どんな形や色をしているのかも判らず、レシピのまま作ると失敗する事も多いです。(実際、失敗した・・・)





このquatre quartsは、レシピに紹介されていたものの中で、唯一成功したケーキといっても過言ではありません。(本来のquatre quartsの作り方を知っていたというのもあり)



しかし!!やっぱりアレンジさせて頂きました。



本来、イチジクは入らないのですが、パウンドケーキのしっとりさに食感を加えたかったので、トルコ産干しイチジクを加えて、ついでに蜂蜜も加えてみました。



量って、混ぜて、焼きっぱなしの簡単なケーキなので、どうぞお試しあれ~☆





(材料)小型のパウンドケーキ型1本分
バター・・・・100g
グラニュー糖・・・・・100g
全卵・・・・・・・・・・・100g(Mサイズ2個分)
薄力粉・・・・・・・・・50g
栗粉・・・・・・・・・・・50g
栗の蜂蜜・・・・・・・・・・・50g(しっとり感を出す為に加えます。甘味を控えたい方は砂糖を70gにして下さい。)
干しイチジク・・・・・150g(100gを生地用・50gを飾り用にします)

栗のリキュール適量・・・・焼き上がりに刷毛、もしくは霧吹きで風味を足します。手に入らない方は、ラム酒(褐色)を代用して下さい。




(準備しておく事)
1.バターをポマード状(指がスッと入る程度)にしておきます。
2.全卵を常温に戻しておきます。
3.薄力粉と栗粉を一緒に振るっておきます。
4.干しイチジクを荒く切っておきます。
5.蜂蜜が固い場合は、あらかじめ温めておきます。
6.型にバターを塗って冷やしておきます。(もしくは、クッキングペーパーをひいておきます)




(作り方)
1.バターにグラニュー糖を一度に加え、ホイッパーでグルグルと混ぜます。
2.卵をよくほぐし、3回に分けて加えて混ぜます。その都度分離しないようによくつなげてから、次の卵を加えて下さい。
3.蜂蜜を加えて混ぜます。
4.ヘラに持ち替えて、粉類を2回に分けて加えます。1回目が7割程度混ざってから、2回目の粉を加え粉気が無くなるまで混ぜます。
5.イチジクを加え、大雑把に混ぜます。
6.型に流し、160℃のオーブンで40分~50分ほど焼きます。(低温でじっくりと火を通します。この時直に火が当たる事を避ける為、オーブン用鉄板を下に引いて下さい。串を何箇所かに刺し、生地が引っ付いてこなければ、焼けている証拠。)
7.オーブンから出したら、すぐにリキュールを刷毛もしくは霧吹きで染み込ませてください。


翌日、2日後がよりおいしく食べられます。紅茶・珈琲と共にどうぞ召し上がれ!

2007年4月7日土曜日

Crêpe de la farine de châtaigne

今回は栗粉を使ったクレープとカニストレリの紹介です。



(材料)
薄力粉・・・・60g
栗粉・・・・・・60g

卵・・・・・・・・3個
グラニュー糖・・・・25g
オイル(コーン油、菜種油などくせの無いもの)・・・大スプーン2~3杯
バター・・・・・35g
牛乳・・・・・・300g
(お好みで)セドラやシャテーニュのリキュール・・・・・大スプーン1杯(今回はウィスキーを加えましたが)

(準備しておく事)
1.薄力粉と栗粉を一緒に振るっておきます。
2.バターを溶かして、荒熱を取っておきます。
3.牛乳を人肌に温めておきます。

(作り方)
1.卵とグラニュー糖をよく擦り混ぜ、リキュール、バター、オイル、粉の順によく混ぜる。
2.牛乳で初め少し伸ばして、残りを3回に加えて混ぜる。
3.漉し器で漉して、冷蔵庫で一晩寝かせる。
4.フライパンを充分に熱し、濡れた布巾で少し荒熱を取る。
5.再び火にかけ、オイルを薄く伸ばし、お玉一杯弱(フライパンの淵まで生地が行き届く量)を流し、手早く手首を捻りながら、生地を広げる。
6.生地が指に付かなくなり、焼き目が付いたら、ひっくり返して軽く焼いて、ラップを引いた皿の上に重ねていく。(ラップを引くと、お皿にくっ付かない)


写真では、クレマンティーヌのジャムを乗せてますが、お好みで☆フライパンはフッ素加工してある物が使い易いですが、ホットプレートでも上手く出来るんじゃないかな。

一番初めのクレープは焦げたりくっ付いたりする事がよくありますが、回を重ねる毎に、フライパンにオイルが馴染み、スルッ!っとはがれやすくなります。


次は栗粉のカニストレリ、これはほんとお薦め、是非試して下さい。



基本の分量は前回のものと同じですが、粉の半量を栗粉に、あとローストした胡桃を刻んで加えてみました。

(材料)   約50個分
バター(ポマード状)・・・・・100g
グラニュー糖・・・・・・・・・・100g
卵・・・・・・・・・・・・・・・・・1個半
栗粉・・・・・・・・・・・・・・・・・125g
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・125g
ベーキングパウダー・・・・・・5g
胡桃(軽くローストしておく)・・・・・60g

飾り用胡桃・・・・・・・・・・適量

作り方は、第一回カニストレリを参照にしてください。

保存は密閉容器に入れて、湿気を防いで下さい。栗粉も虫が付きやすいので、冷蔵・冷凍保存をお薦めします。

今栗粉を使った別のお菓子を制作中なんですが、ほんと焼き菓子に向いてます。素朴なイメージですが、使い様によっては上品な味が出ると思ってます。

☆ここで紹介するお菓子は、コルシカの地方菓子に自分なりにアレンジしたレシピが多いです。必須の材料などは加えますが、コルシカ島に存在する地方菓子とは異なる部分があると思いますので、あしからず・・・・。コルシカの材料を使ったお菓子&地方菓子の紹介と思って頂ければ、良いと思います。☆

2007年4月5日木曜日

Fiadone(フィアドンヌ)

フィアドンヌ、コルシカに訪れる人ならば、必ず一度は食べるのではないかという程、これまた有名なチーズケーキ。パティシエの人ならば、大森由紀子さん著の私のフランス地方菓子で見かけている人も多いと思います。






もともと、コルシカ島のコルト(corte)という場所が発祥地らしく、今では様々なバリエーションでコルシカ島全土で作られています。





最大の特徴はブロッチュ(ブロッチョ・・・brocciu)という、山羊または、羊のミルクを使ったフレッシュチーズを使用する事で、乳清(ミルク成分を含んだ水分)を凝固させて作ったのがこのブロッチュ、ブロッチュの日が経った物に塩を加えたりして固めたのが、ブロッチュ・パッス(パッセ・・・brocciu passu)、残った脂肪分で作ったチーズがトム(tomme)というハード系チーズに生まれ変わります。取れる期間も短く一般的に4月~9月頃までで、乳の状態で微妙に味も変わります。(ウィキペディア百科辞典には11月から6月までとなっており、確かに新年の伝統料理にブロッチュを使います。)


先日、レストランにいつもこのブロッチュを持ってきてくれるおばさんから、ブロッチュを受け取ると、まだ温か~い!!いつも受け取るのは私の役目ではなかったので、この時初めて出来立てのブロッチュの温度を体感、赤ちゃんのような匂い・・・毎朝作ってるので出来立てが当たり前なんですが、なんだか感動してしばらく放心・・・


で、色々レシピがあるのですが、今回紹介するのは私のオリジナルでレストランでも売っているものです。 ケーキにする場合には、必ず半日から1日水抜きしてから使用して下さい。 又、本土の方では、brouseという名前らしいので、マルシェなどで見つかるかもしれません!


(材料)・・・・・直径18cm型1台分
松の実 (あらかじめキツネ色に焼く)     75g
スペキュロス      75g
溶かしバター      40g

ブロッチュ        375g
生クリーム        50g
卵黄            45g
プードル・ア・ラ・クレーム(無くても良い)     6g
                   オレンジ・レモンの皮すりおろし        各1個分
                   卵白            80g
                   グラニュー糖       45g

(準備しておく事)1.生地を焼く型にあらかじめバターを塗り、グラニュー糖をまぶしておきます。
          2.オーブンを150℃の温めておきます。
          3.卵白をボールに入れ、冷蔵庫で冷やしておきます。

(作り方)

1.まず土台を作ります。松の実・砕いたスペキュロス・バターをよく混ぜる。型のそこに平らにならします。→冷蔵庫で冷やしておく。
2.卵白・グラニュー糖以外の材料をすべてフード・プロセッサーに入れて(無い方はホイッパーで)滑らかになるまで混ぜます。
3.卵白を取り出し、少しホイッパーでほぐしてから、分量の砂糖を3回に分けて加えて泡立てます。(初めから砂糖を全部入れると、泡たちにくいので注意)立て具合は、6~7分立て。ゆる~く立ててください。
4.2と3を合わせます。メレンゲを2回に加えてゴムへらで混ぜます。ここでしっかり混ぜて下さい。メレンゲがつぶれる・・・なんて気にせず、メレンゲが見えなくなってからも40~50回混ぜてください。
5.型に流して焼きます。大体60分程です。



型の準備と土台の様子、レストランでは、セルクルしかないので下に紙を引いてますが、底のある型があれば、それで充分です。(グラニュー糖は、焼いた後も食感として残るので、まぶしてます。)


その場合は、底に硫酸紙を引いて下さい。





混ぜ終わりの状態。

そして断面図。










混ぜが足りないと、ちょっと爆発状態になるんですが、これはこれでおいしいですよ。あと生地の中にセドラや栗のリキュールを加えても、もしくは食べる時に掛けてもおいしいです。




もっと簡単にしたい!という方には、こちらのレシピを参考にして下さい↓

(材料)ブロッチュ・・・500g、卵・・・・6個、砂糖・・・・300g、レモンの皮すりおろし・・・・1個分、お好みでリキュール少々。

これらを全部滑らかになるまでよく混ぜ、150~160℃のオーブンで45分程焼きます。型には、後で取り出しやすいように、オイルかバターを塗っておいて下さい。



よく冷ましてから食べて下さい。おいしいですよ~日本で”幻のチーズケーキ”とか謳って出したら売れるかもしれない。